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少額訴訟を提起された場合の対応

Q

当社は,東京に本社がある企業ですが,北海道にお住まいのお客様からのクレームが発端となり,北海道の簡易裁判所に対して少額訴訟を提起されました。
請求されている金額自体は大きくはありませんが,当社としては今まで行っていた取り扱いをそのお客様にも同じようにしたにもかかわらず,訴訟を提起されてしまったので困っています。
当然,当社としては関連法令や契約上の約款に則り,適宜行政にも相談の上,サービスを提供していたのですが,相手も適用される業法やその他関連法令を摘示し,行政に相談の上で訴状を書いており,万が一敗訴してしまうと,他のお客様への取り扱いも全国的に変更する必要が出てきかねない問題なので,しっかり対処したいと考えています。
どのようにすればよいでしょうか。

A

まず,東京に本社があっても,請求の原因が不法行為である場合など,地方にある裁判所に対する訴訟提起が認められる場合はあり得ます。そのため,現地の裁判所で訴訟手続等の対応をする必要があります。
そして,今回提起された少額訴訟は,簡易裁判所において請求金額が60万円以下の場合に利用できる簡易な手続きで,基本的に1回の裁判期日で主張と証拠調べを終え,その日に判決を言い渡すという特徴があります。
そのため,少額訴訟は早く終わるという利点がありますが,原則として一度しか期日が開かれないため,証拠や主張書面を提出する機会も一度しかなく,不明瞭な点は裁判期日において口頭で説明する必要があり,事案に詳しい人が出頭する必要が出てくるほか,簡易裁判所はその名のとおり,簡易な事件を多量に処理するという特色があることから,事案が高度に法律的な問題を含んでいたり事実関係が複雑であったりするなど,審理に時間を要する場合には適さない手続といえます。
本件は,会社の担当者が東京にいることや,会社としての通常の取り扱いを説明する必要があること,業法その他の関連法令等,通常簡易裁判所では取り扱わないような法令が出てくることから,少額訴訟の手続内で訴訟を行うには適さない事案といえます。
したがって,充分な審理判断を求める場合には,通常移行の申述や,裁量移送の申立てをするのが良いと考えます。
通常移行の申述は,初回期日前に書面で行うか,初回期日に出頭し自身の主張を行う前に口頭で行う必要があり,これがなされると,原則1回の裁判期日で終了するという少額訴訟の枠組みから,簡易裁判所での通常の審理に移行するため,訴訟当事者は充分な主張立証をすることができます。
そして,裁量移送の申立ては,簡易裁判所が相当と認める場合に,簡易裁判所の裁量により,訴訟を地方裁判所に移すことを求める申立てのことをいいますが,ここでいう相当とは,事案が複雑な場合や,高度な法律問題を含む場合のこと等をいいます。こちらは通常移行の申述と異なりあくまで裁判所の裁量のため,必ずしも認められるわけではありません。しかし,移送が認められた場合,簡易裁判所と比べて,地方裁判所は,難しい事件も適切に処理するための体制が整っていることから,この申立てを行ったほうがよいと考えられます。
少額訴訟は,訴額が60万円以下と必ずしも大きいわけではありませんが,争われている内容,事案によっては,そのまま少額訴訟に応じるよりも,上記手続を踏んだ方が良い場合もあります。迷った場合には弁護士にご相談ください。

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