- 人事労務問題
雇入時の身元保証人の要件に制限を加えることの可否
Q
当社は,従業員の雇入時に,その従業員の身元保証人となることができる人物を制限しようと考えていますが,このようなことは可能でしょうか。
また,身元保証について留意することがあれば教えてください。
A
どのような人物を身元保証人として求めるかは,目的(リスク管理)との関係で必要性が説明でき,かつ必要最小限である限り,就業規則等で一定の基準を設けること自体は可能です。もっとも,性別・信条等を理由とする一律の排除など,不合理な差別的取扱いにならないよう配慮が必要です。
また,身元保証には法的な制約が多く,損害の填補には限界があります。たとえば,身元保証法により,(期間を定めない場合)原則として契約は3年で効力が区切られ,期間を定めても最長5年です。更新する場合も改めて手続(再取得)を行うのが通常で,更新後も最長5年です。
さらに,従業員に不適任・不誠実な事跡があることを知った場合や,配置転換等で保証人の負担が加重される場合には,使用者は保証人へ通知すべき義務があり,保証人は将来に向けて解除できる場合があります。
そして,民法改正により,2020年4月1日以降に締結される個人の根保証契約では,極度額(上限額)の定めがないと契約が無効となります(民法465条の2)。身元保証も個人の根保証契約に該当するため,極度額を明記した書面(または電磁的記録)で整備することが求められます。
根本的に,雇用の当否は,当該従業員自身に対する人格等の信頼の有無により判断されるべきであって,身元保証制度の適用場面となる当該従業員の不始末による損害も,本来は,当該従業員を選定した会社が負担すべきリスクともいえます。そのような観点からは,第三者にリスクのみを負担させるということ自体,あまり適切ではない面もあります。
このような発想から,実際の裁判例でも,身元保証人に対する責任追及の範囲を限定しているものが少なからず存在します。
このように,身元保証のみでリスクを完全にカバーできるものではなく,運用の難しさもあることから,特に法改正がなされた現状においては,身元保証制度を定め続けるかについて,各企業の実態を踏まえた十分な検討が求められます。
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