当ウェブサイトでは、サイト利用状況を把握するためにCookieを使用しています(Google Analytics、BowNow)。オプトアウト方法などの詳細は個人情報保護方針およびBowNowプライバシーポリシーをご参照ください。 当ウェブサイトの使用を続行するとCookieに同意したことになります

企業法務Q&A例 CORPORATE LEGAL Q&A
  1. TOP
  2. 企業法務Q&A例
  3. 社員が失踪した場合の雇用契約終了の方法など
  • 人事労務問題

社員が失踪した場合の雇用契約終了の方法など

Q

当社の社員(正社員,勤続2年)が急に失踪して音信不通となったため,無断欠勤が続くことを理由に懲戒解雇として公示送達の手続きを行いました。
① この場合に,解雇予告手当の支払は必要でしょうか。
② 支払が必要な場合は,社員の給与振込口座に支払えばよいのでしょうか。
③ この場合,欠勤期間中の立て替えた社会保険料等との相殺は可能でしょうか。
④ その他,助言があればお願いします。

A

①  この点,解雇の有効性については,「即時解雇としての効力は生じないが,使用者が即時解雇に固執するのでない限り,解雇通知から30日が経過したとき,または,通知後に予告手当を支払ったときから,解雇の効力が生じる」と解されており,解雇通知到達後,30日が経過すれば,解雇予告手当を支払わずとも,解雇自体は有効になり得ます。
とはいえ,予告期間を設けずに即時解雇する旨を既に通知されたのであれば,解雇予告手当を支払わない場合に,公法上の義務違反となるおそれがあります。よって,支払いは行った方が良いものと考えます(他に,労働基準監督署の除外認定を受けるという方法が考えられますが,容易には認められないものとされております。)。
②  弁済が有効になるには,相手方に対して行わなければならないため,社員の給与振込口座に送金をすれば,ほぼその社員の支配下に入った可能性が認められます。よって,実務上の現実的な対応としてはそのような方法によることでやむを得ないものと考えます。
厳密には,社員の支配下に間違いなく入ったかどうかはこちらで確認できるものではなく,極端な例でいえば,失踪したということになると,第三者に通帳・キャッシュカード・銀行印などを取り上げられてその第三者の支配下にあるなどの場合など有効な弁済ではないとされる可能性も完全には否定できません。
今後に関して言えば,行政解釈上,解雇予告手当を現実に支払うことまでは必要ではなく,口頭の提供で足り,解雇予告手当を支払うこと及び支払日を通知すればよいなどとされていますので,解雇通知の公示送達の際に,併せてこの点も記載をして通知することで現実の支払いを避けるということは可能ではないかと考えられます。
③  裁判例や行政解釈上,解雇予告手当について使用者が公法上の支払義務を負っており,賃金と同様,賃金全額払いの原則の適用もあるため,反対債権との相殺ができないという見解が一般的であり,本件における相殺は難しいと考えます。
④  今後について,あらかじめ就業規則において,例えば,「1ヵ月以上にわたり無断欠勤が続いた場合は当然退職とする。」などの規定を設けておくことは可能と解され,その場合には,解雇通知の公示送達も解雇予告手当の支払いも不要になると考えられますので,そのような就業規則の改定も検討してみてはいかがかと考えます。また,万が一,その社員の方が後日に戻ってきたような場合には,紛争防止のためにあらためて,自主退職又は合意退職(それができない場合は公示送達によらない通常の解雇手続き)を行うことも考えられます。

【Web相談即時予約】について

当事務所があらかじめ設定したご予約カレンダーの日時と、ご相談者様(企業のお客様に限ります)のご都合が合う場合には、お申し込みと同時に当該日時での Web 相談予約を完了していただけます。
紛争やトラブルのご相談だけでなく、法務に関する一般的なご質問への対応も可能ですので、ぜひお気軽にご予約ください。

※ご予約カレンダーに表示されない日時にWeb相談をご希望の場合は、
お問合せフォームからお申し込みください。

WEB相談即時予約 こちらをクリック