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横領の疑いの濃い社員に対する出勤停止処分,賃金支払要否

Q

横領の疑いが濃い社員がいます。本人は全面否認していますが,当社は本人を刑事告訴しました。
(1)本人を休職処分とし,給料の支払いを止めてもよいでしょうか。
(2)また逮捕勾留された場合,さらに起訴になった場合はどういう対応が可能でしょうか。
(3)無罪判決が確定したらどうなるのでしょうか。

A

(1)本人を休職処分とすることには就業規則の規定が必要ですので,まず,貴社就業規則にこのような場合の休職を定める規定がない場合には,無給での休職処分はできません。
また,仮に就業規則に根拠規定があるとしても,無条件に休職処分が認められるわけではありません。刑事事件には無罪推定原則が働きますので,それにより職場秩序が維持できない,あるいは勾留などのため出勤できないことなどの要件を充たさない場合には,裁判例上休職命令が無効とされる可能性が相当程度あります。
一般論としては,刑事告訴をしただけで逮捕勾留もされておらず,起訴されるかどうかもわからない,という段階で,無給の休職処分とすることは難しいように思います。ただし,会社秩序維持の観点から出勤はさせないが給与は支払うということであれば,指揮命令権の行使として基本的に許容されますので,「自宅待機にするが給与は支払う」という選択肢も検討してはどうかと思います。

(2)逮捕勾留,さらに起訴という流れで刑事事件が進んで行くにつれて,休職処分を有効と判断してもらえる可能性は高まります。
ただし,逮捕勾留されればそもそも休職処分を下すまでもなく当該社員は出社できなくなりますし,欠勤日については当然給与を支払う必要もありません。
また,逮捕勾留され,さらに起訴された後に当該従業員が保釈されるということも十分考えられますが,保釈後の休職命令は無効であると判断した裁判例もあります。どこかの段階で休職処分を発令することは十分考えられますが,既に述べたとおり無効となるリスクもありますので,発令の要否については事案に応じて慎重に判断する必要があるものと思います。

(3)刑事裁判で無罪判決が確定した場合には,基本的には当該横領の嫌疑を理由とした処分は難しくなるものと考えた方が無難です。
ただし,既に発令した休職処分が発令時点で有効なものであった場合には,後に無罪判決が確定したからといって,遡って休職処分が無効になるようなことはないものと考えられます。

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