- 企業法務一般、顧問契約
無料であると誤認して契約をした求人広告サイトからの高額な広告料請求
Q
当社は,人手不足で求人方法に悩んでいたところ,インターネットで求人サイトを運営しているという広告業者から飛び込みの電話がかかってきて営業を受け,「キャンペーン中なので無料期間だけの契約なら費用はかかりませんよ」と説明されたことから,無料ならやって損はないだろうと軽い気持ちでその求人サイトに広告を掲載してもらうことにしました。広告掲載のための契約は,その業者からFAXで送られてきた紙1枚の契約書に署名押印して郵送するだけで終わり,数日後にはインターネットのサイトに当社の求人広告が掲載されました。
その後,そのサイトを通じた応募はなく,そのまま放置していたのですが,数週間後にその業者から突然「無料期間が終了するまでに解約の手続が取られなかったので有料契約に移行しました」として数十万円の広告料の請求書が届きました。解約の手続のことや有料契約への移行のことは全く説明を受けていなかったのですが,最初に署名押印した契約書をよく読むと,どうやら契約書とは別の約款にそのような記載があるということのようでした。当社はこのような請求に応じなくてはいけないのでしょうか。
A
貴社が当該業者との間で求人広告契約を取り交わしたということは事実なので,当該業者からの請求がその契約に基づく正当な請求なのであれば,広告料を支払わなくてはならないということになってしまいます。
ただ,貴社が契約を取り交わした経緯を見れば,「無料期間が過ぎると自動的に有料契約に移行する」という内容や,「有料契約への移行を避けるためには所定の解約手続を取らなくてはならない」ということは契約書そのものにははっきり書かれておらず,口頭でもそのような説明は全く受けていなかったということなので,有料の契約はそもそも成立していない,と考える余地があると思います。
また,その業者の手口は,無料を装って契約を取り交わして,契約をたてに後日高額の広告料を騙し取ろうとするものなのだと思いますので,民法96条の「詐欺による意思表示」だとして契約を取り消す余地も十分にあると思います。
近時,このような悪質な求人広告サイトの被害が増えていますが,法的には業者からの請求に応じる必要はないケースも多く,そのようなケースでは毅然とした態度で対応すれば最終的に請求を諦める業者がほとんどなので,よくわからないまま高額の支払に応じてしまうということのないように,弁護士に相談するなどして適切に対応してください。
【Web相談即時予約】について
当事務所があらかじめ設定したご予約カレンダーの日時と、ご相談者様(企業のお客様に限ります)のご都合が合う場合には、お申し込みと同時に当該日時での Web 相談予約を完了していただけます。
紛争やトラブルのご相談だけでなく、法務に関する一般的なご質問への対応も可能ですので、ぜひお気軽にご予約ください。
※ご予約カレンダーに表示されない日時にWeb相談をご希望の場合は、
お問合せフォームからお申し込みください。