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土地賃借人死亡後に,相続人中1名との間で契約承継の合意をすることの可否

Q

当社が賃貸している土地の賃借人が死亡しましたが,相続人全員の意思確認ができず,遺産分割協議書もありません。土地上には建物が建っているのですが,その建物の名義はなくなった元の賃借人名義のままです。
相続人1名との間で,当該1名が当社との土地賃貸借契約を承継する旨の契約を締結することはできますか。

A

元の賃借人が亡くなったことにより,現時点では,土地上の建物の所有権及び借地権については,相続人全員の遺産共有状態にあります。

権利関係をきちんと処理するためには,相続人全員の遺産分割協議によってその承継人を定めてもらう必要があり,相続人のうちの誰か一人とだけ合意を取り交わしたとしても,他の相続人がもともとの借地契約に関して有している権利を消滅させることはできません。

面倒であっても,まず賃借人側にきちんと遺産分割の問題を解決させなくてはなりません。

なお,このような事態に備える意味では,借地契約上の借地人の義務として,「相続発生の場合には速やかに遺産分割協議をとりまとめ,借地権の承継者を定める」などの内容を条文化しておくことも考えられます。

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