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取引先からの従業員の引き抜き行為

Q

当社で取引先Aから受託している業務について,従業員Bに担当を任せています。
Aとの業務委託契約に基づき,BがAの事務所内の作業場所に赴いて委託作業を行っています。
そうしたところ,BがAから引き抜きにあったようで,Aとの契約更新のタイミングでAからは業務委託の終了を通知され,Bからは退職の申し入れを受けています。このようなことは許されるのでしょうか。

A

Aとの業務委託契約やBとの労働契約において引き抜きを禁止する規定が何ら定められていない場合,従業員の引き抜きに関しては,従業員の職業選択の自由(憲法22条)が保障されていることから,違法となる場合がかなり限定されています。裁判例などからすると,引き抜き行為のうち,単なる転職の勧誘にとどまるものは違法とは言えないとされております。
他方,①転職する従業員が会社で占める地位,②会社内部における待遇,③引き抜く人数,④従業員の転職が会社に及ぼす影響,⑤転職の勧誘に用いた方法(退職時期の予告の有無,秘密性,計画性等)などの諸般の事情に照らして,社会的に認められない程度に至っている場合には引き抜き行為が違法と認められる場合もあります。

もし,Aとの業務委託契約において,具体的に引き抜きを禁止するような定めがあった場合には,Aに対して債務不履行責任が生じるものと考えられますので,今後は,契約時にきちんと取り決めを行うことが考えられます。
また,従業員との労働契約においては,雇用契約書や就業規則において,引き抜き以外を含め競業禁止規定を置くことが考えられます。
ただし,上記のとおり,職業選択の自由との関係から,裁判例上,概ね雇用期間中及び同期間終了後1年くらいが有効性の上限となるものと考えられます(当該人物の専門性・地位・待遇の高さ・契約形態などの事情から雇用期間終了後2~3年程度が有効になっている事案もありますが例外的であると考えられます。)。

まとめると,引き抜きについては,事後的に取引先や従業員に責任追及をすることが極めて困難となることから,契約時に取り決めを行うことが重要と考えられます。

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