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借地上の建物が競売手続きにかかってしまった場合の対応
Q
当社は所有地の一つを経営者の親族に低額で賃貸しており,その土地上には経営者の親族が所有する収益物件が建てられていました。
しかしながら,知らないうちにその収益物件が競売にかけられており,よくわからない業者がこれを落札してしまいました。
当社としては,そのような業者との付き合いを続けることは望んでおらず,少なくとも,親族価格での賃貸をこのまま続けるようなことは避けたいのですが,どのように対応したらよいでしょうか。
A
借地人が借地上の所有建物を第三者に譲渡する場合,建物と一緒に借地権も譲渡されることになるため,地主の承諾が必要となります。そのため,無断で建物を譲渡することは原則として許されません。これは建物が競売にかかった場合も同様なので,御社としては,まずは「借地権の譲渡は認めない」ということを落札した業者に通知する必要があるものと思います。
もし落札者が通知を受けて何もせずに諦めてくれれば,落札者が売買代金を納付してから2か月を経過した時点で借地権の譲渡は無効となり,無権利者となった落札者を土地から追い出すことができます。
しかし,落札者は,地主が承諾してくれない場合,裁判所に対して地主の譲渡に変わる許可を求めることができ,裁判所から許可を得た場合には,地主が反対していても借地権の譲渡は有効となります。そして,多くの場合,ある程度の承諾料(相場としては,借地権価格の1割程度)を落札者が支払うのと引き換えに,裁判所は借地権の譲渡を許可します。結局,承諾料を受け取ることはできますが,落札者との賃貸借関係は残ることになります。
ただし,承諾に代わる許可の審判手続きにおいて,地主には「介入権」が認められており,この介入権を行使すれば,適正な対価を落札者に支払うことで,建物及び借地権を落札者から無理矢理買い取ることができます。これによって,土地も建物も御社の所有となり,買取代金の負担は生じるものの,落札者を排除して権利関係を整理することが可能です。
また,仮に落札者への借地権の譲渡を認める場合であっても,従前の地代が親族価格で相場よりも非常に低額だったということであれば,裁判所に対して地代の増額請求をすることも可能なので,親族価格での賃貸を続けることは避けられる可能性があります。
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