当ウェブサイトでは、サイト利用状況を把握するためにCookieを使用しています(Google Analytics、BowNow)。オプトアウト方法などの詳細は個人情報保護方針およびBowNowプライバシーポリシーをご参照ください。 当ウェブサイトの使用を続行するとCookieに同意したことになります

企業法務Q&A例 CORPORATE LEGAL Q&A
  1. TOP
  2. 企業法務Q&A例
  3. 不当な採用広告営業への対応
  • 企業法務一般、顧問契約

不当な採用広告営業への対応

Q

私は社員20名程度の会社の人事課所属の社員です。
最近,当社に見知らぬ業者から「無料で当社のサイトに求人広告を掲載しませんか?今すぐ申し込んでいただいた方は20日間広告掲載が無料になります。」との電話がありました。
無料ならいいかと思い「いいですよ。」と返事をすると,業者は「このあとFAXで契約書を送りますので,それに今すぐ記名と押印をして返送してください。そうするとすぐに広告が掲載されます。」と言いました。数分後には契約書がFAXで届きましたので,すぐに社長の了解を得て,社長名で記名押印し,業者あてにFAXで返送しました。
それから20日ほど後,業者から広告料20万円の請求書が郵送されてきました。
業者に電話し「広告は無料ということではなかったのか」と尋ねたところ,業者は「そのようなことを言った覚えはありません。契約書をよく読んでください。『申込後20日を経過した後は有料掲載へ移行する』と書いてあります。お支払がなければしかるべき手続にならざるを得ません。」などと答えました。
改めて契約書を見ると,確かに第●条に「申込後20日を経過した後は有料掲載へ移行する」と,かろうじて読める小さな文字で記載されていました。しかし,この契約書はFAX送信されたもので,字がつぶれて極めて見づらいものでした。さらに,その文字を何とか解読すると,契約書には「無料掲載期間終了日の8営業日前までに書面で申し出をしない限り,直ちに広告掲載料の支払が必要」と記載されており,事前に有料掲載へ移行するかどうかを確認する仕組みにはなっていませんでした。ところが,業者との電話では「積極的に掲載打ち切りを申し出ない限り有料掲載に移行する」という説明は一切なく,私はその記載に全く気づきませんでした。
また,業者のホームページを見ると確かに当社の求人広告は掲載されていましたが,Googleなどで検索しても順位100番程度の目立たないページであり,採用に役立つとは思えませんし,実際その広告を見たという応募者はおりません。
当社は20万円の広告料を支払わなくてはならないのでしょうか。

A

結論から申しますと,支払う必要はないと考えます。理由は次のとおりです。

契約は当事者の意思が一致することで成立し,その方式は自由です。契約書に署名押印することはもちろん,口頭でのやり取り(口約束)でも有効です。今回の契約書には「申込後20日を経過した後は有料掲載へ移行する」との文言が印字されており,貴社が記名押印しているため,その内容を承諾したのだから契約が成立していると解釈される余地もあります。

しかしながら,貴社は業者から「20日間の無料掲載」との説明を受け,それを前提に広告の無料掲載を依頼したものであり,有料掲載まで承諾したものではありません。契約書の内容についての説明もありませんでした。契約書自体もFAX送信で極めて見づらいものでした。したがって無料掲載終了後の有料契約が成立したとは必ずしも言えません。また,
 (1)この契約書によれば「無料掲載終了日の8営業日前までに書面で申し出をしない限り,直ちに広告料の支払が必要」とされ,事前の意思確認の仕組みもなく,料金は20日間で20万円と高額です。また,広告会社は貴社の意見を聞かずに広告を掲載していました。これらを踏まえると,仮に契約が成立していたとしても,公序良俗に反し無効と評価できる可能性があります(民法90条)。

 (2)さらに,貴社担当者は「無料掲載のみ」と誤信させられて署名押印したのであり,詐欺により錯誤(平たく言うと「誤解」があったということです。)が生じていたといえます。したがって契約が有効に成立していたとしても,詐欺あるいは錯誤を理由に意思表示を取り消すことによりその無効を主張できるとも考えられます。

実際に,多くの裁判例でも同様の判断がなされており,当事務所でもこの種の請求には応じない旨の書面を送付し,支払わずに済んだ事例が多数あります。同様の事案でお困りの方は当事務所までご相談ください。

【Web相談即時予約】について

当事務所があらかじめ設定したご予約カレンダーの日時と、ご相談者様(企業のお客様に限ります)のご都合が合う場合には、お申し込みと同時に当該日時での Web 相談予約を完了していただけます。
紛争やトラブルのご相談だけでなく、法務に関する一般的なご質問への対応も可能ですので、ぜひお気軽にご予約ください。

※ご予約カレンダーに表示されない日時にWeb相談をご希望の場合は、
お問合せフォームからお申し込みください。

WEB相談即時予約 こちらをクリック